ドラマーで作曲家、平井景 Official Website

『Live Around The Mountain Side』/ 平井景スペシャル

2012年11月1日発売
MMZK-DVD001(DVD)
MMZK-BD002(blu-ray)
合計収録時間:135分
フルカラーブックレット付属

『Live Around The Mountain Side』/ 平井景スペシャル

このピアノトリオは、あらゆる曲を何と楽しく、激しく、そして千変万化に演奏するのだろう・・・

2012年9月、小淵沢・安曇野・松本で3日連続で行われた平井景スペシャルのライブ。 木のぬくもりと自然を感じる特別な3会場で、豊かな環境に呼応した自由闊達な演奏と卓越したMCを厳選して収録 !

ライブとは思えない高音質のドラムソロ「Art of Solo Drumming」を2テイク、「山月伝」は、白熱した安曇野と、沈着な松本の2テイクを収録!
“ライブとは、こんなにも毎日演奏が違う。”
“ライブとは、場所によってこんなにも音が違う。”

DVDではCDよりも高音質なフォーマット(16bit/48KHz)を使用。 Blu-rayは24bit/48KHzの「完全マスターフォーマット」を使用しています。 当日のPAを努めたエンジニアが同時に録音し、東京の拠点に持ち帰ってから、ライブの勢いを記憶しているうちにミキシングしました。 既存のライブDVDとは異なる、迫真の映像と音をお届けします。


参加ミュージシャン

  • 平井 景:Drums
  • 榊原 大:Piano
  • 村上 聖:Bass

Produced by Shinichi Akagawa (studio mimizuku)

Recording and Mixdown : Shinichi Akagawa
Camera Operation : Hiroki Omori / Junko Hara
Edit : Hiroki Omori
Design : Junko Hara (studio mimizuku)
Stage Supervising : Naoko Shimada (Bright Sun's Record)
Drum Assistant : Daisuke Shiratsuki


収録曲

【小淵沢】pension 月下草舎 - September 14, 2012
1. Art of Solo Drumming #1
2. Love Me Tender
3. Tool Box

【安曇野】アートカフェ 清雅 - September 15, 2012
4. April ♪試聴(MP3)
5.山月伝 #1 ♪試聴(MP3)
6. Secret Avenue ♪試聴(MP3)
7. 暁 ♪試聴(MP3)
8. 憧憬 ♪試聴(MP3)

【松本】あがたの森 旧松本高等学校講堂ホール - September 16, 2012
9. Art of Solo Drumming #2
10. Folk Tale ♪試聴(MP3)
11. 山月伝 #2 ♪試聴(MP3)
12. Anytime ♪試聴(MP3)
13. 月の虹 ♪試聴(MP3)
14. Old Clock Tower ♪試聴(MP3)

収録時間:135分

All music written by Kay Hirai,
/ except "Secret Avenue" written by Kiyoshi Murakami,
/ except "Akatsuki" written by Dai Sakakibara


「音」の背景を語る読み物

プロデュース・レコーディング担当 赤川新一

 作曲家・ドラマーの平井景さんとの出会いは、平井景スペシャルのピアノ担当である榊原大さんからの紹介だった。平井さんの初リーダーアルバムのレコーディングエンジニアとして呼ばれ、現場で初顔合わせとなる。その当時、僕はドラムをマイク3~4本で録る音が好きだったので、平井セッションも当然のようにマイク3本から始めた。

 いや、正確に言うと一般的な本数(12本程度)は立てておいたのだが、それは初めて録音するドラマーに対しての精神的配慮のようなもので、「マイク3本しか立ってないじゃん」とか思われても困るので、一般的な立て方に準じて立てていたに過ぎず、立てたマイクを全て使う気は全くなく、録音中もプレイバック時もオーバートップ2本とキックだけを聴いていた。

 この3本のマイクアレンジ、実はとても気に入る人と全く受け付けない人がいる。一般的なマイクアレンジでは、例えばスネアやタムのマイクは、それぞれの楽器から5cmほどの距離で立てられるので、ドラマーの目の前には少なくとも7本ほどのマイクが林立している。そして、まさに目の前で楽器が鳴っているような音を収録し、それを良いバランスで混ぜる事でドラム全体の音を再現するという方法だ。一方、3本マイクでは目の前にマイクが全くない(笑)。レコーディング中のドラマーとしては心細いかもしれない。そしてヘッドホンを付けて、録音されるドラムの音を聴きながら演奏してみると、一般的なマルチマイクとの世界観はさらに歴然と違う。

 ここで3本マイクの評価は真っ二つに分かれる。「自然な良い音で叩きやすい」という場合と、「音が遠くて叩ききにくい」という場合だ。エンジニア、そしてドラマーの慣れの問題もあるし、録音する部屋の影響も大きい。幸いにも平井さんセッションでは、一発で「良い音ですね~!」という事になり、お互いにとても良い気分でレコーディングを進める事ができた。

 この「評価が真っ二つに分かれる」という原因の一つに、「自分の出している音のバランスが良いかどうか」が大きく関わってくる。「楽器をコントロールできているかどうか」と言い換えても良い。ドラムはシンバルなどの金物とスネアやタムなどの皮物がセットになっている楽器で、素人が何も考えずに叩くと、当然金物が非常に大きく鳴る。その状態で3本セットを試みても、マイクにはシンバルの音しか入ってこない。良いチューニング、優れたプレイ、相応しいマイクアレンジが揃うと、とてもとても美しい音が響き渡るのだ。

 今回発売となった『Live Around The Mountain Side』は、作曲家・平井景のメロディアスな楽曲を、ドラマー平井景とピアニスト榊原大、そしてベーシスト村上聖が、一般的なホールやライブハウスではなく、小淵沢・安曇野・松本などの(平野から見れば)山の側に点在する素敵な空間で、縦横無尽に暴れ回っている様を記録した映像作品である。

 ユーザーとしての僕は、こういう「比較的小さな、そしてライブ専門ではない空間でのパフォーマンス」を愛してやまない。そこには濃密で自由な時間が流れているし、歴史的名演は毎日のように生まれているものだ。こういった演奏を実際に現場で聴ける事はなかなか無いし、その様子を感じられる作品も、あまり無いように感じる。

 スタジオミミズクの映像制作チームは何としても、そういう「濃密で自由で素な演奏」を映像作品として残したかった。演奏者と客席が近く、エネルギーや息吹が感じられるような作品を残したかった・・・いや、視たかったし聴きたかった。なので、3日間のマウンテンサイド収録を敢行した。そして、我々の思いは叶えられたのだ!

 平井さんと共同プロデュースで始めたドラムソロ・プロジェクト、「Art of Solo Drumming」と「山月伝」は2テイク入っていて、それぞれの空間の音と、空間に影響を受けた演奏者の気持ちが記録されている。ライブなのでドラムのマイクは一本追加して4本での収録となったが、それでもバランスの良さや音色の美しさを楽しめる仕上がりとなった。

意外に知られていないが、今やDVDやBlu-rayはCDよりも高音質が楽しめるのだ。日本中の人達に視て・聴いてほしい。そして皆さんの愛してやまない「素敵な空間」に、我々を呼んでほしいと願っている。


付属のブックレット

『Live Around The Mountain Side』付属のブックレット