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(2010/1/18)

【モノを創る】 -デビューアルバム「SORA」-

2009年という年は、私にとってまさに「元年」
あれほど体と頭とココロを動かした日々はないかもしれません。
年のはじめ頃は低かったココロの温度が、春に向けて徐々に上昇しはじめました。

【モノを創る】

このことを強く意識しはじめた時期でもありました。

それまでも楽曲を作っては、自身が主宰するリーダーライブで発表したり、 ピアノトリオ「秀景満」などの参加バンドに提供したり、 また、イベントやコンサートの趣旨に合わせて名曲をアレンジしたり、 10数年来、自己と格闘しながらも、ほぼ独学で譜面を書いておりました。

そんな小さな積み重ねもあって、ここ数年は、 企業の商品プロモーションビデオの音楽やテレビ番組のテーマソングを 作曲してレコーディング・音源制作するお仕事もオファーされるようになっていました。

2009年の春は、そんな活動の側面をテレビ番組で特集してもらったり、 読売新聞などのメディアで取り上げられる機会に恵まれ、 「俺って単なるドラマーだけではなく、音楽全体をクリエイトしたい人間なんだ」と 改めてサウンド・プロデューサーとしての自分を再認識する時期になったのです。

レコーディングを思い立つ

そのころたびたび行っていた「平井景スペシャル」のツアーを実現させたのが、2009年の3月。

平井景スペシャル - TOUR2009 -
NAOTO(Violin)、榊原大(P)、村上聖(B)、平井景(Drs)

2月11日「調布 GINZ」
3月1日「大阪産業大学・多目的ホール」
3月2日「京都 Live Spot RAG」
3月3日「奈良・学園前ホール」
3月4日「名古屋 The Bottom Line」
3月5日「東京 Blue Alley Japan」

このツアーで実感しました。腑に落ちました!
「このサウンドはイケる。アルバムに残そう!」

【デビューCD「SORA」を創る】

1991年にリーダーバンドをつくって以来、18年間。 自分主宰のライブ本数は数百回にのぼりますが、 ずっと意識していた自分自身のアルバム作り。 ついに本腰を入れる気持ちが湧きあがったのです。

アルバムタイトルは「SORA」
大好きな空をアルバムいっぱいに展開しようと思いました。

この「SORA」の制作準備に取り掛かったのが2009年の6月頃。 それから年内は、怒涛の日々が続くことになります。

メンバーを集める

まずは「平井景ワールド」を理解する、信頼のおけるミュージシャンにオファー。

NAOTO (Violin)
東京芸術大学在学中から活動を始め、2005年にEPICレコードより1st Album「Sanctuary」でソロ・デビュー。 その後も着々をアルバムを発表し、全国で強力な動員数を誇るスタープレイヤーです。 ドラマ「のだめカンタービレ」への出演も話題になりました。 長年続ける「ポルノグラフィティ」サポートでも人気のアーティストです。 彼のバイオリンには、人の心に訴えるパワーがあります。 私のメロディーを奏でてもらうのは、彼が一番だと思いました。
NAOTO
榊原大 (Piano)
東京芸術大学在学中に“G-CLEF”を結成し、日本レコード大賞アルバム企画賞を受賞したり、 NHK「紅白歌合戦」出場を果たすなど、数々の輝かしい経歴で全国にその名を轟かしました。 その後も、ピアニストのみならずTV・映画の音楽担当の仕事でも多彩な実績を残す素晴らしいアーティストです。 クラシックとポップスとジャズをまたぐ彼のダイナミックなピアノは、私の音楽性にピッタリ。 キラキラした音圧のある音色は、本当に説得力があります。
榊原大
村上聖 (Bass)
幼少時代からクラリネット、クラシックギターのレッスンを通じて演奏法、読譜、理論などを体得。 クラシックからロック、ポップス、ジャズに至るまで本当に幅広く、その底力を感じさせる数少ないベーシスト。 編曲、サウンドプロデュースの方面でも活躍。現在、ジャズやポップス界で超多忙な日々を送っています。 聖にいさんは、特にここ6年くらい、私の楽曲を最も演奏し理解する貴重な存在。 あらゆる私の要望に的確に応えていただき、彼なしには今回のプロジェクトは成立しませんでした。
村上聖
原田芳宏 (Steel Pan)
ドラム缶から作られるカリブ海の楽器、スティールパンの日本第一人者として、世界でも知られる存在。 スティールパン、アコーディオン、ギターによるトリオ「PAN CAKE」を始め、独奏による「PAN ALONE」、 また40人近い編成による「PANORAMA STEEL ORCHESTRA」を率いるなど、ワン&オンリー的なアーティスト。 1992年に私がプロとして活動した時からのお付き合いで、頻繁に活動を共にしています。 今回も、彼の温かくあの独特の雰囲気を加味してもらうことが必要でした。
原田芳宏

こんな日本を代表する素晴らしいメンバーから快諾を得て、船は進み出しました。

エンジニアを探す

私は自分の音楽で「景色が思い浮かぶようなメロディーと空気感」を大切にしています。 だから、「勢いのあるライブ感」と「丁寧な音づくり」の両方を盛り込みたかったのです。 もちろん音色、音質のクオリティーは最高でなくてはいけません。

そこで、アコースティック・サウンドを録音させれば右に出るもの無しと言われる レコーディング・エンジニア赤川新一さんにコンタクトを取りました。 自分が録りたいサウンドを伝え、ライブ映像も見ていただき、 「このメンバーだったら録音にはそんなに時間がかからず、やりたいことが出来そうだね」とのお返事。 赤川さんに引き受けてもらえたことで、このアルバム制作のプロジェクトは さらに本格的なものになりました。

赤川新一

スタジオを決める

そうなると、次はレコーディングするスタジオの選定です。 ありそうで、実はなかなか無い楽器編成。 エレクトリック・ベースの村上さんも今回は数曲ウッドベースを弾きますから、 どれも部屋の鳴りと録音の腕が問われるアコースティックな「生音楽器」の集結。 しかも、ピアノの音色は私にとっても非常に重要で、 深くて粒立ちの良い音がするピアノを持っているスタジオを探しました。

このような条件をクリアするスタジオといえば、 おのずと日本有数の、、、ということになります。(汗) 日本トップクラスのレコーディングが行われる 「東京・クレッセントスタジオ」に決めました。

もうここまで来ると「後に引けない」「つまらないものを作るわけにはいかない」

私にとって「緊張」と「期待」と「安心感」が交錯する 大きな時間が流れました。

コンセプトを決める

その他のライブ等のお仕事を続けながらも、 作曲、選曲、練習、段取り、、に時間を費やす毎日が続きます。

アルバムの方向性、コンセプト、選曲などについては、 Co-Producerの島田奈央子さんと何度も話し合い アイディアをもらいました。

バイオリンのNAOTOくんには、“SORA-空-”というタイトル曲を クラシックのボレロ調で壮大なサウンドにしたいとの考えを伝え、 ストリングスのアレンジをわざわざレコーディング用に書いてもらいました。

ギリギリまで選曲と曲順には悩みましたね。 ライブでは演奏していて好評の“FOLKTALE”は 第一候補に挙がっていたのですが、直前で外しました。 他曲と差別化しにくく「どの曲もいい感じだけど、アルバム全体として引っかかりがないな」と。

で、アルバムのアクセントに急浮上したのが収録曲“山月伝”。 「ポップじゃないけど、アクがあってメンバーの妙技も出せる。」 しかしライブではもっと長く演奏するので、アルバムではソロをフリー状態にして、 「この先どうなるんだー?!」のままフェードアウトがいいと考えました。 実際のレコーディングでは、一発で録音OK! スリリングで深みのある凄い展開の演奏が、CDでお聞きいただけると思います。

このように、毎日布団に入っては、また何かを思い付いて起き上がる。 獲りつかれたような日々でした。

いざ、録音

7月に入って同メンバーでライブを行い、 メンバーが温まった状態で翌日リハーサル。

かくして、 超多忙なスタープレイヤーと 超一流のスタッフが 日本一のスタジオに集結したわけです。

同時発売したDVDメイキング作品「In his story」をご覧いただくと その雰囲気も感じていただけると思いますが、 数々の音のマジックが起きる、それはそれは夢のような時間でした。


レコーディングは順調。 みんな、いい音です。 素晴らしい演奏です。

現場ではあまりカリカリしたり急かしたりしないように心がけてました。 普段、レコーディングで呼ばれて行った時に、そうあって欲しいと思うからです。

しかし、いざクライアント、つまり出資者の立場にもなると、、、、 一分一分にスタジオ代や人件費がかかってることを意識せざるを得ません。 いろんな立場を経験することは、勉強になるなーなんて思いもしました。

結局はゆっくりご飯を食べ、談笑しながらも、 全員でタッグを組んだメリハリのある時間が流れました。

ミキシング

それから日を置いて、ミキシングとマスタリングという整音作業。 音の調整やバランスなどを取って、音楽作品を完成するのです。

私のこだわりに、エンジニアの赤川さんも粘り強く何日もお付き合いくださいました。 赤川さんの素晴らしいところは、 彼の感性を反映した芸術作品として常に提示してくれることです。 私の言いなりではなく、私の意図するところを汲んで、 さらに大きくして返してくれる。 彼から出てくる音作りは毎回、驚くべきものでした。 「こりゃ、ファーストコールで各方面から呼ばれる人だな」って思ったものです。

音が完成されるにつれ、その素晴らしさに 「早くいろんな人に聴いてもらいたいな」とワクワクしたことを思い出します。

ジャケット制作

さて、音づくりと同時にアルバムには「ジャケット」が付き物ですよね。 私は自分の音楽性を、視覚でも感じとってほしいと考えていました。 アルバムを手にして最初に目にするのはジャケットですから。

ここでも感性を共有し、センスある人を探す必要がありました。 TSUTAYAにも行って、片っぱしからジャケット見て、 気に入ったものがあったらそのデザイナーさんを調べて。。。 そんなこともしました。

原惇子

いろんな経緯を経て、若いデザイナーの原惇子さんにたどり着いた時は嬉しかったです。 最初に提示してくれたラフ案を見た時、その感性に「おおー」と感嘆の声を上げました。 その後、原さんと島田さんと私は、三人ともが納得いくまで、 どれほどの時間をジャケットのデザインに費やしたことでしょう。

「中性的で、穏やかで切なく、力強い世界」にこだわりました。 完成した紙ジャケットを広げてみてください。 大好きなでっかいでっかい空が広がります。

作品完成

かくして、41歳にして初のリーダー作「SORA」が完成しました。

メロディーが自然にココロに入ってきて、風景が浮かびます。 あらゆる音が生き生きしていて、聴きごたえがあります。

Jazz×Classic+World Music!

我ながら、今までになかなか無い世界が出来たなとの自信作。 ここに「平井景ワールド」が、一つ生まれました。

10月にリリースされてから、本当に多くの感想をいただいております。 各方面からの反響も大きく、自分でも驚いております。

いろんな人々の生活の一部に、 このアルバムがあるといいなと、 そう願ってやみません。

最後になりましたが、アルバムを制作するにあたっては、 その他にもいろんな方の支えがありました。

出版のノウハウを惜しげもなくご指導いただいている加藤雄紀さん(Music Brains)にも 感謝いたします。

この作品に関わっていただいた全ての方に、心から感謝申し上げます。

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